2006.10.2
文・写真/平松さとし
午前中は曇天。通り雨がパラつくほどだった。しかし、午後からは徐々に雲が逃げ、晴れ間が覗く。気温はぐんぐんと上昇する中、その時を迎えた。
10月1日、午後3時過ぎのフランス、ロンシャン競馬場。
競馬場に駆けつけた六万を越すファンのうち、日本人は約六千人。場内には日本語の看板が掲げられ、放送も日本語で流された。
パドックに現れたディープインパクトは落ち着いた素振り。日本人ファンがヒートアップしそうになるのを武豊騎手が人差し指を口にあて、宥めるシーンもあった。
馬場入りしたゼッケン1番のディープは他の馬を従える形でスタンド前をパレード。市川厩務員と池江敏行調教助手の二人引きで、相変わらず落ち着いてみせた。
ゲートインはリクエスト通り一番、最後。ディープが入るとすぐにゲートが開いた。
ただでさえ遅い流れになることの多いフランスの競馬で、8頭という少頭数。案の定、スローな流れに、ディープが思わず先行した。
「こういう形になる可能性もあると想定はしていた」というユタカ。2番手で向こう正面を行く。5ハロンを通過するあたりで外からスミヨン騎乗のシロッコがかわしに来ると、ユタカは抑えて3番手。ここで少しシロッコと接触したが、上手に下げたユタカは慌てることなく外へいざなう。
「ズッと内にいるつもりはなかった」
内で包まれるのを嫌うこの言葉にディープへの信頼感がみてとれる。
フォルスストレートから4コーナー。前にシロッコをみる3番手で後ろにはハリケーンラン、レイルリンク。
「ここまではいい感じで走れました。馬場コンディションもよかったし、日本にいる時と同じだと思いました」
しかし…。
「そこから先が、いつもみたいに伸びてくれませんでした」
一旦、先頭に立ったディープだが、後ろから来たレイルリンクにかわされる。そして、プライドにもかわされたところがゴールだった。
力を出して負けたのではなく、力を出し切れなかった内容に、「悔しいというより残念」とユタカは唇を噛んだ。
調教師・池江泰郎は「僕にはまだ早かったのかな。でも、ディープは頑張ってくれたから『ご苦労さん』って声をかけてきました」と語った。
ディープは現地時間10月3日、約二ヶ月に及ぶ滞在を終え、日本へ向かう。
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