データde出〜た
第65回 桜花賞で上位人気の2勝馬は信頼できるか!?
2006/4/6(木)
今週は牝馬クラシック第一弾・桜花賞。3勝馬や4勝馬が人気を集める年が多いが、今年の人気馬には2勝馬も少なくない。果たして桜花賞で2勝馬は信頼できるのか、それともバッサリと切るべきなのか。データから分析してみよう。
今週は牝馬三冠の第一関門、桜花賞。昨年のファンタジーSから続く2、3歳牝馬路線で上位を占めた馬のほとんどが顔を揃えており、なかなか見応えのありそうな一戦だ。ただ、今年の桜花賞は2勝馬が上位人気に数多く食い込みそうで、例年とは様相がかなり異なっている。前評判では、どうやらアドマイヤキッスの1番人気が濃厚。ほかにもフサイチパンドラやシェルズレイ、キストゥヘヴンあたりが高い評価を受けており、果たしてこれら2勝馬が信頼に値するのか気になるところだ。そこで今回は、特に勝利度数に注目して桜花賞を分析していきたい。データの調査はJRA-VAN Data Lab.とTarget frontier JVを利用した。
■表1 桜花賞の勝利度数別成績(過去10年)
出走 |
1着 |
2着 |
3着 |
勝率 |
連対率 |
複勝率 |
|
1勝馬 |
36 | 0 | 2 | 2 | 0.0% | 5.6% | 11.1% |
2勝馬 |
86 | 4 | 3 | 4 | 4.7% | 8.1% | 12.8% |
3勝馬 |
43 | 3 | 4 | 4 | 7.0% | 16.3% | 25.6% |
4勝馬 |
8 | 2 | 1 | 0 | 25.0% | 37.5% | 37.5% |
中央馬の地方遠征勝利は含む
まず、勝利度数別の成績を見てみよう。一見してわかる通り、桜花賞では勝利度数が多い馬ほど、高勝率、高連対率を記録している。このデータを見る限りは、2勝馬は信頼に値しない、ということになる。ただ、2勝馬の中には抽選でなんとか出走にこぎつけたような超人気薄馬も多く含まれる。3勝馬や4勝馬に比べ好走確率が低いのも当然だ。
■表2 桜花賞で3番人気以内に推された1、2勝馬の成績(86年以降)
年 |
馬名 |
人気 |
着順 |
成績 |
勝率 |
連対率 |
前走 |
86 |
ダイナフェアリー | 2 |
17 |
【2.1.1.1】 |
40.0% | 60.0% | 4歳牝特・4着 |
87 |
ドウカンジョー | 3 |
8 |
【2.0.0.1】 |
66.7% | 66.7% | 4歳牝特・5着 |
90 |
ケリーバッグ | 3 |
2 |
【1.1.0.0】 |
50.0% | 100.0% | チューリップ賞・2着 |
93 |
ベガ | 1 |
1 |
【2.1.0.0】 |
66.7% | 100.0% | チューリップ賞・1着 |
| マックスジョリー | 2 |
3 |
【2.2.0.0】 |
50.0% | 100.0% | アネモネS・2着 | |
94 |
ローブモンタント | 1 |
3 |
【2.1.0.0】 |
66.7% | 100.0% | エルフィンS・1着 |
| ノーザンプリンセス | 2 |
6 |
【2.1.0.0】 |
66.7% | 100.0% | フローラS・1着 | |
95 |
ダンスパートナー | 3 |
2 |
【1.2.0.0】 |
33.3% | 100.0% | チューリップ賞・2着 |
97 |
シーズプリンセス | 3 |
12 |
【2.4.1.0】 |
28.6% | 85.7% | 4歳牝特・2着 |
00 |
レディミューズ | 2 |
6 |
【1.2.0.0】 |
33.3% | 100.0% | チューリップ賞・2着 |
| シルクプリマドンナ | 3 |
3 |
【2.1.1.0】 |
50.0% | 75.0% | 4歳牝特・2着 | |
01 |
ハッピーパス | 3 |
4 |
【1.3.1.0】 |
20.0% | 80.0% | フィリーズR・2着 |
02 |
シャイニンルビー | 1 |
3 |
【2.0.0.1】 |
66.7% | 66.7% | クイーンC・1着 |
| オースミコスモ | 2 |
11 |
【2.1.1.0】 |
50.0% | 75.0% | チューリップ賞・2着 | |
03 |
スティルインラブ | 2 |
1 |
【2.1.0.0】 |
66.7% | 100.0% | チューリップ賞・2着 |
| ヤマカツリリー | 3 |
4 |
【2.2.1.0】 |
40.0% | 80.0% | フィリーズR・1着 | |
05 |
エアメサイア | 3 |
4 |
【2.1.1.0】 |
50.0% | 75.0% | フィリーズR・3着 |
では、上位人気馬(1〜3番人気)に限定した1、2勝馬の成績を見てみよう(表2)。過去10年ではサンプルが少ないため、Target frontier JVで調査可能な86年以降の該当馬をすべて挙げてみた。この期間では計17頭がこれに該当し、【2.2.4.9】で勝率11.8%、連対率23.5%、複勝率は47.1%。同じ期間で勝利度数を問わない全1〜3番人気馬の桜花賞成績は【13.6.8.33】で、勝率21.7%、連対率31.7%、複勝率45.0%。複勝率こそ互角だが、勝率、連対率は1、2勝馬がかなり劣っており、上位人気に限っても1、2勝馬の信頼性が低いのは確かだ。
ここで、連対した4頭(背景色:黄)を見ると、共通点が浮かび上がってくる。連対率が100%であること、そして前走がチューリップ賞で連対を果たしていることだ。今年のチューリップ賞は1着アドマイヤキッス、2着シェルズレイ。アドマイヤキッスは連対率100%で、桜花賞でも連対の可能性がある。シェルズレイは連対率57.1%が、キストゥヘヴンとフサイチパンドラは前走(フラワーC)がひっかかり、3番人気以内に推されるようなら連対の可能性は低い。ただ、「前走オープン(重賞含む)連対」で3着(背景色:白)の可能性は残されている。
では、4番人気以下ではどうだろう。アドマイヤキッスの3番人気以内はほぼ確実だが、シェルズレイ、キストゥヘヴン、フサイチパンドラのすべてが3番人気以内ということはあり得ず、このうち何頭かは必ず4番人気以下になる。果たして上位人気以外なら連対の可能性はあるのだろうか。
■表3 桜花賞で3着以内に入った1、2勝馬(過去10年)
年 |
馬名 |
人気 |
着順 |
前走 |
96 |
ファイトガリバー | 10 | 1 | アネモネS(阪神)・3着 |
97 |
ホーネットピアス | 8 | 3 | フラワーC・5着 |
98 |
エアデジャヴー | 9 | 3 | クイーンC・2着 |
99 |
プリモディーネ | 4 | 1 | チューリップ賞・4着 |
| トゥザヴィクトリー | 5 | 3 | アネモネS(阪神)・3着 | |
00 |
チアズグレイス | 6 | 1 | チューリップ賞・10着 |
| マヤノメイビー | 7 | 2 | 阪神3牝・3着 | |
| シルクプリマドンナ | 3 | 3 | 4歳牝特・2着 | |
01 |
ムーンライトタンゴ | 4 | 2 | 500万下(阪神)・1着 |
02 |
ブルーリッジリバー | 7 | 2 | フィリーズR・4着 |
| シャイニンルビー | 1 | 3 | クイーンC・1着 | |
03 |
スティルインラブ | 2 | 1 | チューリップ賞・2着 |
| シーイズトウショウ | 13 | 2 | チューリップ賞・4着 | |
04 |
アズマサンダース | 7 | 2 | チューリップ賞・2着 |
05 |
デアリングハート | 10 | 3 | フィリーズR・2着 |
表3は、過去10年の桜花賞で3着以内に好走した1、2勝馬の一覧である。収得賞金800万円以下の馬は、出走権を持つウインシンシア以外出走できないため(4月5日現在)、このタイプは背景を灰色にしている。連対した各馬に共通するのは、前走がチューリップ賞かフィリーズレビューで掲示板に載っていたこと(または1番人気=チアズグレイス)。このデータからも前走がフラワーCのキストゥヘヴンとフサイチパンドラは苦しく、シェルズレイは表2と合わせ「4番人気以下なら」の条件つきで連対の可能性がある。ただ、このデータでは同じ2勝馬で人気薄必至のユメノオーラ(フィリーズレビュー2着)やエイシンアモーレ(同3着)などと同列で、仮に4番人気以下でも上位人気の一角には違いないシェルズレイを積極的に買う必要性は薄い。

【結論】
桜花賞は、勝利度数が多い馬ほど成績が良く、上位人気に限定しても1勝馬や2勝馬は好走確率が低い。今年の2勝馬ではアドマイヤキッスにこそ連対の可能性があるが、キストゥヘヴンやフサイチパンドラはデータからは3着まで。シェルズレイは4番人気以下ならチャンスがある。ただ、どの馬も人気に見合うほどの信頼性はなく、馬券の中心には3勝以上馬を据えたい。
今年出走を予定している3勝以上馬は、アサヒライジング、アルーリングボイス、グレイスティアラ、コイウタ、ダイワパッション、テイエムプリキュアの計6頭。84年以降の桜花賞では「前走5着以内、または1番人気」が3着以内の絶対条件で、この6頭は全馬クリアする。ただ、過去10年の連対馬の傾向から「新馬勝ち」「マイル経験と3着以内の実績」「前走(アネモネSやクイーンC組不振)」「阪神経験」「芝1勝以上」といった条件を当てはめていくと、軒並みいずれかのデータ、または複数に引っかかり、残るのはテイエムプリキュア1頭のみになる。テイエムプリキュアは前走のチューリップ賞では4着に敗れたが、98年のファレノプシスや翌年のプリモディーネ(ともにチューリップ賞4着)など前走敗退から巻き返した例は多く、まったく不安はない。
残る3勝以上馬はいずれも減点材料を抱えているが、他の1〜2勝馬を探っても各条件をすっきりとクリアする馬は見当たらない。減点材料を抱えている馬ばかりなら、表1のデータを重視して、相手本線には3勝以上馬を取るのが妥当だろう。なお、アドマイヤキッスの減点は初勝利が3戦目だった点のみ。過去には同じ2勝馬でデビュー戦2着のベガが、チューリップ賞勝ちをステップに1番人気で優勝した例もあり、2勝馬でもこの馬だけは3勝以上馬と同格と考える手もある。
穴党を自認する方なら、「テイエムプリキュア以外は『減点持ち』ばかりなら、相手にはなにが来ても不思議はない」という発想で、中〜大穴を狙ってみるのも面白い。たとえばラッシュライフは、03年に13番人気2着で波乱を演出したシーイズトウショウと同じサクラバクシンオー産駒。ファンタジーS2着、前走チューリップ賞で掲示板という戦歴も共通している。また、エイシンアモーレは阪神JFで掲示板に載り、前走フィリーズレビューで好走という点で、昨年10番人気で3着に好走したデアリングハートと同じ。成績が安定せず人気はなさそうだが、阪神に限れば【1.0.1.1】で最低でも前走の4着と、コース相性は良さそうだ。いずれにしても、データから強く推せる馬が少ないのが今年の桜花賞。皆さんも過去の「波乱の立役者」と今年のメンバーを比較しつつ、穴馬発掘に挑戦してみてはいかがだろうか。
ライタープロフィール

浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
