データde出〜た
第71回 前走桜花賞組は人気と前々走成績がポイント
2006/5/17(水)
今週は牝馬クラシック第2弾のオークスが行われる。この時期の牝馬には過酷な東京芝2400mでの激戦。過去10年の結果からレース傾向を占ってみたい。
オークスの舞台となる東京芝2400mは、全馬未経験の距離。桜花賞から800mもの距離延長は、この時期の牝馬にとっては過酷な条件だ。芝1600mをこなせても芝2400mをこなせる保証はどこにもない。最近は距離適性をあらかじめ考え、NHKマイルCに回るケースも出てきたが、やってみないとわからないという不確定な要素が多いのは事実だ。まずは過去10年のオークスの出走及び好走馬を分析。同レースの傾向を探っていきたい。データは、JRA-VAN Data Lab.とTarget frontier JVを利用した。
■表1 過去10年のオークス出走馬の前走レース別成績
前走レース名 |
着別度数 |
勝率 |
連対率 |
複勝率 |
単回収率 |
複回収率 |
| 桜花賞 | 7-8-6-38/59 | 11.9% | 25.4% | 35.6% | 105% | 172% |
| フローラS | 1-1-3-45/50 | 2.0% | 4.0% | 10.0% | 35% | 45% |
| 忘れな草賞 | 1-1-1-7/10 | 10.0% | 20.0% | 30.0% | 134% | 144% |
| チューリップ賞 | 1-0-0-1/2 | 50.0% | 50.0% | 50.0% | 125% | 80% |
| スイートピーS | 0-0-0-32/32 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
| その他のレース | 0-0-0-24/24 | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0% | 0% |
手始めに基本的なところで臨戦過程を押さえておきたい。表1は過去10年のオークスに出走した全出走馬の前走レース別成績。距離・コースともに大幅に異なる桜花賞だが、やはりこの組が圧倒的に強い。適性云々を考える以前の問題で、オークストライアルなどと比べて出走馬のレベルが違いすぎるのだ。桜花賞での着順を問わずすべての馬を集計しているので、連対率や複勝率は目立ったものではないが、過去10年で7勝2着8回3着6回の通算成績は群を抜いている。しかも、単勝回収率と複勝回収率がともに100%を超えている点も見逃せない。人気馬ばかりが来ているのではなく、穴馬の好走もあることを意味している。つまり、堅そうな軸馬を探す際も、穴馬を探す際も前走桜花賞組の馬に注目したほうがいいのだ。
フローラSは旧サンスポ賞4歳牝馬特別時代を含めても、成績は良くない。ハズレの馬が多い。忘れな草賞組は人気になって敗れるイメージもあるが、全体的な数字としては悪くない。前走チューリップ賞からのぶっつけで好走したのは96年1着のエアグルーヴ1頭。このローテーションは例外で、馬自身としても別格の存在だった。壊滅状態なのは前走スイートピーS組。過去10年で32頭出走し、好走例は1度もない。前走その他のレースを使っていた馬も厳しい状況が続いている。
■表2 過去10年のオークス好走馬(1)
年 |
着順 |
人気 |
馬名 |
前走成績 |
人気 |
| 05年 | 1 | 1 | シーザリオ | 桜花賞2着 | 1 |
| 2 | 2 | エアメサイア | 桜花賞4着 | 3 | |
| 04年 | 1 | 6 | ダイワエルシエーロ | 桜花賞7着 | 5 |
| 2 | 4 | スイープトウショウ | 桜花賞5着 | 2 | |
| 03年 | 1 | 2 | スティルインラブ | 桜花賞1着 | 2 |
| 02年 | 1 | 4 | スマイルトゥモロー | 桜花賞6着 | 4 |
| 2 | 12 | チャペルコンサート | 桜花賞7着 | 5 | |
| 01年 | 3 | 1 | テイエムオーシャン | 桜花賞1着 | 1 |
| 00年 | 1 | 1 | シルクプリマドンナ | 桜花賞3着 | 3 |
| 2 | 5 | チアズグレイス | 桜花賞1着 | 6 | |
| 99年 | 2 | 1 | トゥザヴィクトリー | 桜花賞3着 | 5 |
| 3 | 3 | プリモディーネ | 桜花賞1着 | 4 | |
| 98年 | 2 | 2 | エアデジャヴー | 桜花賞3着 | 9 |
| 3 | 1 | ファレノプシス | 桜花賞1着 | 3 | |
| 97年 | 1 | 2 | メジロドーベル | 桜花賞2着 | 2 |
| 96年 | 2 | 4 | ファイトガリバー | 桜花賞1着 | 10 |
| 3 | 8 | リトルオードリー | 桜花賞9着 | 1 |
では、前走桜花賞組の馬の中では、どんな馬がオークスでも狙えるのだろうか? 表2は、とある条件にしたがって過去10年のオークス好走馬の一部を並べてみた。桜花賞の成績で注目すべきなのは、着順よりも人気。桜花賞とオークスでは求められる適性が違うため、桜花賞での着順はあまりこだわる必要がない。大負け(10着以下)していなければいいという感じだ。表2で挙げた17頭中14頭は、桜花賞で5番人気以内に推されていた。そして、残りの3頭のチアズグレイス、エアデジャヴー、ファイトガリバーは、桜花賞で3着以内に好走した馬。つまり、前走桜花賞組は、同レースで5番人気以内、もしくは3着以内の条件で絞込みをかけるとわかりやすくなる。
■表3 過去10年のオークス好走馬(2)
年 |
着順 |
人気 |
馬名 |
前走成績 |
人気 |
前々走成績 |
| 04年 | 3 | 7 | ヤマニンアラバスタ | 桜花賞9着 | 14 | フラワーC2着 |
| 03年 | 2 | 13 | チューニー | 桜花賞12着 | 9 | クイーンC1着 |
| 00年 | 3 | 16 | オリーブクラウン | 桜花賞10着 | 10 | フラワーC2着 |
| 99年 | 1 | 7 | ウメノファイバー | 桜花賞6着 | 8 | クイーンC1着 |
前走桜花賞で5番人気以内にも推されず、3着以内にも好走できなかった馬の巻き返しは、基本的には厳しいが、全くノーチャンスというわけではない。上の表3で示した通り、過去10年で4頭いる。いずれも7番人気以下で、13番人気、16番人気も含まれる超穴馬だが、好走できた根拠はある。4頭ともに桜花賞前、つまり前々走で1600m以上の重賞で連対を果たしていたこと。具体的にはクイーンC、フラワーCという関東のレース。また、00年3着のオリーブクラウンを除く3頭は関東馬。元々、オークスに出走する関東馬は、長距離輸送が避けられる点でアドバンテージがある。
■表4 過去10年のオークス好走馬(3)
年 |
着順 |
人気 |
馬名 |
前走成績 |
通算成績 |
| 05年 | 3 | 3 | ディアデラノビア | フローラS1着 | 3-0-0-2/5 |
| 03年 | 3 | 9 | シンコールビー | フローラS1着 | 2-2-3-5/12 |
| 02年 | 3 | 2 | ユウキャラット | 忘れな草賞1着 | 3-1-0-6/10 |
| 01年 | 1 | 5 | レディパステル | フローラS2着 | 2-3-1-0/6 |
| 2 | 4 | ローズバド | フローラS3着 | 2-1-2-2/7 | |
| 98年 | 1 | 7 | エリモエクセル | 忘れな草賞1着 | 2-0-1-1/4 |
| 97年 | 2 | 13 | ナナヨーウイング | 忘れな草賞3着 | 2-0-1-6/9 |
| 3 | 4 | ダイイチシガー | 4歳牝馬特別2着 | 2-2-1-2/7 | |
| 96年 | 1 | 1 | エアグルーヴ | チューリップ賞1着 | 3-2-0-0/5 |
次は別路線組について見ていこう。前走桜花賞以外を使ってオークスで好走した馬は、上の表4に記載した9頭。エアグルーヴを除く8頭はフローラS、忘れな草賞で3着以内の馬だ。この2つのレースで出走権利を獲得し、オークスの出走にこぎつけるのが普通なので、当然のような傾向なのだが、すでに賞金を持っている実績馬でもここでの成績は大事。直前のトライアルで4着以下に敗れていては、本番での出番はないと考えたい。また、表4の9頭のオークスまでの通算成績を調べると、すべて2勝以上の勝ち星を挙げていた。1勝馬は割引が必要かもしれない。
【結論】
さて、それでは今年の出走馬をチェックしていこう。まずは、前走桜花賞組(直行)について(表5参照)。
■表5 今年のオークスに出走する有力馬(1)馬名 |
前走成績 |
人気 |
前々走成績 |
| アドマイヤキッス | 桜花賞2着 | 1 | チューリップ賞1着 |
| キストゥヘヴン | 桜花賞1着 | 6 | フラワーC1着 |
| コイウタ | 桜花賞3着 | 5 | クイーンC1着 |
| フサイチパンドラ | 桜花賞14着 | 2 | フラワーC2着 |
前述したように前走桜花賞組は5番人気以内の馬か、3着以内の馬をマークすることからはじめる。すると、今年はアドマイヤキッス、キストゥヘヴン、コイウタ、フサイチパンドラの4頭が該当する。この中でフサイチパンドラだけは桜花賞の着順が悪すぎるので、割引が必要だろう。しかし、バッサリ切り捨てるところまではいなかい。その理由は後で述べる。
結局、今年は桜花賞の上位3頭がそのままオークスでも有力候補。配当妙味は薄いかもしれないが、桜花賞での人気、着順のバランスを考えると、素直にこの3頭を評価すべきではないだろうか。2400mは未知の距離だが、いずれの馬も行きたがって折り合いを欠いてしまうようなタイプにも見えない。ただ、桜花賞の着順がそのままオークスでもあてはまるとは考えにくい。着順の微妙な入れ替わり、あるいは別の馬が食い込んでくることをも想定しておいた方がいいだろう。
次に表5以外の前走桜花賞組だが、今年はどうだろうか。上の表3のようなタイプの馬を探したいが、なかなか見当たらない。何故かと言うと、すでに表5に該当した馬が、フラワーC、クイーンCの好走馬だからだ。そういう意味でも、今年の桜花賞上位3頭は、前々走においても強力な実績を持っていると言える。
ただ、先ほど触れたフサイチパンドラは、前々走フラワーCで2着という実績。表3に該当した馬に近いタイプだ。実践的なことを考えると、行きたがるタイプで距離延長のオークスは苦労しそうだが、もし折り合うことができれば、巻き返しがあってもおかしくない実績は持っている。
■表6 今年のオークスに出走する有力馬(2)
馬名 |
前走成績 |
通算成績 |
| ニシノフジムスメ | 忘れな草賞1着 | 2-1-0-3/6 |
| ヤマトマリオン | フローラS1着 | 3-2-0-3/8 |
最後に前走桜花賞組以外の別路線組(表6参照)を見ていく。今年は前走スイートピーSを勝ったカワカミプリンセスが3戦3勝の無敗馬で不気味だが、過去のデータ通り攻めるならばやはりフローラSと忘れな草賞組だ。同レースで3着以内に入り、なおかつ2勝以上の実績を持つ馬は2頭。ニシノフジムスメとヤマトマリオンだ。桜花賞の上位3頭の一角を崩せるかに注目したい。
ライタープロフィール

小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
小田原智大の完全なる買い方ブログ
