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--今年2月で調教師を引退されましたが、現在はどのように競馬と関わっていらっしゃいますか。
武 平日はトレセンに来て調教見たり、土日は競馬見たり。のんびり暮らしてますよ。レースを見るのが大好きで、土日は朝から夕方まで36レース全部見ます。--全レースですか! それはすごい。馬券も楽しまれていますか?
武 たまに買うけど、難しいね(笑)。2頭選んで馬単を1点で買うんだけど、ほとんど当たらない。競馬場で買うと、ファンの人に囲まれて何買ってるのか見られるから、当たらないと恥ずかしいですね(笑)。--それは大変ですね。
武 馬券を買って思ったのは、ファンの人はよく知ってるなあってことですよ。僕らよりよっぽど詳しいし、馬券もうまい。お金賭けてるから、真剣さが違うよね。--馬券を買うときのポイントはどこに置いてらっしゃいますか?
武 レースを見てて、不利を受けたり、ジョッキーは頑張ったけどうまくいかなかったような馬。この馬残念だったなあ。この次買ってみようか、となる。やっぱりジョッキーの視点になってしまうんですけど、うまいこと乗って、恵まれて勝ったような馬は次は買いたくない。いろんな要因で今回はダメだったけど馬は強いなあというのがいいですね。--さて、今回のテーマは天皇賞・秋なんですが、その有力馬についてお聞きしたいと思います。まず、ウオッカについてですが…。
武 強いんですけど、流れに左右される馬だからねえ。気性がよすぎて、先に先に行く馬だから、かかるような競馬になりやすい。そうなると何かにやられちゃうんですね。テンのペースが速くて、うまい具合に2〜3番手で掛からない競馬になれば強い。安田記念を見ても、じっとしてればあれだけの脚があるんだから、折り合ったら強いですよ。

--オールカマーでは、マツリダゴッホが3連覇を果たしました。
武 うまいことすっと行っちゃったけど、あれはハナに立って少し離したから、誰も追いかけてこないわけです。スローに落とそうとしてしまうと誰かが行くけどね。横山典弘騎手は、僕らからしたら見てて楽しいですよ。とんでもない後ろから差してきてみたり、考えて乗ってるから。--横山典弘騎手と言えば、ダービー馬ロジユニヴァースは見事でした。天皇賞に出走してくる可能性もわずかながら残ってますが…。
武 ダービーは最内枠を引いて、最高の競馬をしてたね。馬体も減ってたし、皐月賞は少し調子が悪かったのかと思うけど、ダービーは作り直して出てきたからねえ。うまいこと仕上げてきたと思いますよ。僕が乗った馬ではロングエースという馬が弥生賞まで5連勝できて皐月賞負け。そしてダービー勝ったんだけど、あれを思い出しました。--ロングエースの皐月賞は3着でした。
武 大本命馬だからね。中山の馬場を考えても、前のほうで競馬したいという感じで乗ったんですよ。そしたら、ガツンと掛かっちゃってね。そのままゴールまで来た。ああならなければ勝ってたと思ったから、ダービーは掛からないようにだけ考えて乗りました。--馬インフルエンザで、7月にダービーが行われた年でしたね。
武 そうそう。普通だったら、ダービーは間に合わなかったですね。7月に延びたからうまく仕上がった。それを考えても、ロジユニヴァースはよく立て直しましたよね。
--オールカマー2着のドリームジャーニーは東京競馬場に実績がないんですが…。
武 小さな馬だけど、いつもいいところまで来る。宝塚記念は勝ちましたし、今年は特に充実してますね。府中は最近使ってないから、まだわからないですよ。オールカマーは59キロということもあったのか、いつもより早め早めの競馬をしてました。前がラクしてましたから、あの2着は仕方がないでしょう。--オールカマー3着のシンゲンは、逆に府中で実績を残しています。
武 最近強くなってきましたねえ。こういう馬がいいんじゃないの? 上り馬は一番怖いから。--展開面から、注目されるポイントはありますか?
武 まずは、枠順でしょう。僕なんかは、現役時代内枠が好きだった。馬はラチに沿って走るのが一番走りやすいんですよ。あと、前に行くのも好きだから、ラチ沿いを先行するのが一番よかったね(笑)。
--ラチ沿いを走ると、ごちゃついて外に出せないという心配はないんでしょうか。
武 今の競馬はスローで直線ばっかりの競馬が多いからね。4コーナー回ったらバラバラになるから、だいたい空きますよ。ましてや府中でしょう? 小倉や中京みたいな小さい馬場なら流れがどっかで速くなって差しが決まるけど、直線が長くなってから府中や阪神は前残りばっかりですから。--だいぶ先の話になりますけど(インタビューは9月30日)、今の時点での結論みたいなものは…。
武 それは出馬表見てから(笑)。今から有力馬はこれじゃ言うても、出てくるかどうかさえわからんでしょう。--そうですよね。今日は本当にありがとうございました。

武邦彦
1938年10月20日生まれ。日本中央競馬会の元騎手、調教師。北海道函館市出身(本籍は京都府)。1960年代から1980年代にかけて日本のトップ騎手の一人として活躍し、「名人」、「ターフの魔術師」等の異名を取った。















